SaaSビジネスに従事していると、SaaS独自の様々な経営指標を管理しているだろう。
今回はMRR(Monthly Recurring Revenue)、ARR(Annual Recurring Revenue)、LTV(Life Time Value)、などの基本的な用語から「40%ルール」のような投資家が判断軸として見る指標を解説していく。
SaaSのメトリクス
1.MRR(Monthly Recurring Revenue)
月間経常収益のこと。解約がない限り発生し続ける収益。
SaaSにおいては収益性、キャッシュフローや成長率を把握するために欠かせない指標。
参考記事:SaaSの売上モデルと国内ランキング|おすすめの情報収集ツール紹介
MRRの管理が必要な理由
MRRのモニタリングで、より正確な財務予測が可能になる。毎月のMRRの推移を見ていくことで自社ビジネスの状態や、どのように進展していくかの予測ができ、それに合わせた事業計画を実行できる。MRRの推移によっては事業計画を下方修正することもあるだろう。
MRRやMRRの毎月/毎年の成長率は、投資家の判断材料にもなるので非常に重要な指標になる。
2.ARR(Annual Recurring Revenue)
年間経常収益のこと。MRR(月間経常収益)を12倍して算出する。
ARR(Annual Recurring Revenue)は、年間経常収益と訳され、サブスクリプションビジネスにおける年間の定額収益を表す。
ARRの管理が必要な理由
ARRを目標として設定することで、1年単位で事業を評価し、新たな長期計画を立てることができる。外部に対して財務状況を公開する場合もMRRだけでなく、ARRやARRの成長率を提示することが多いだろう。
ARRの増加には、新規顧客を増やす、解約率を下げる(継続率を上げる)、顧客当たりの売上を増やす、などの方法がある。
3.ARRマルチプル
ARRに対する企業価値の倍率。株式市場でどのくらい評価されているのか表す。
ARR マルチプル = 企業価値/ARR
またprojection-ai:dbでARRマルチプルも確認することができる。
(画像 : projection-ai:db)
2021年12月時点での国内SaaS企業のARRマルチプルは以下となっている。
1位:マネーフォワード 33.4x
2位:freee 24.5x
3位:プラスアルファ・コンサルティング 21.5x
4位:セーフィー 20.3x
5位:スパイダープラス 19.6x
4.PSR(Price Sales Ratio)
売上高に対する時価総額の倍率。株式市場でどのくらい評価されているのかを表す。
時価総額のランキングが気になる方は以下の記事をご覧ください。
参考記事:SaaSの売上モデルと国内ランキング|おすすめの情報収集ツール紹介
PSR = 時価総額 / 年間売上
(画像 : projection-ai:db)
2021年12月時点での国内SaaS企業のPSRは以下となっている。
1位:ラクス 31x
2位:freee 27.1x
3位:マネーフォワード 24.1x
4位:スパイダープラス 21x
5位:手間いらず 19.6x
5.NRR(Net Retention Rate)
売上継続率。既存顧客による収益の増減を見る上で重要視される指標。
NRR(%) = ( 前月のMRR + アップセル MRR – ダウングレードMRR – 解約 MRR ) ÷ 月初のMRR × 100
6.解約率(Customer Churn Rate)
解約した顧客数の割合。当月の解約数/前月末の累計顧客数で算出する。
解約率 = 当月の解約数/前月末の累計顧客数
7.ARPA(Average Revenue Per Account)
1社あたりの平均月額単価。MRR/契約社数で算出する。
ARPA = MRR/契約社数
8.ARPU(Average Revenue Per User)
1ユーザーあたりの平均月額単価。MRR/契約ユーザー数で算出する。
ARPU = MRR/契約ユーザー数
9.CAC(Customer Acquisition Cost)
顧客獲得単価。
CAC = マーケティング費用・営業費などを含む総コスト / 獲得顧客数
10.CAC Payback Period
顧客獲得単価の回収期間。
CAC Payback Period = CAC(顧客獲得単価) / ARPA × 粗利益率
11.LTV(Life Time Value)
顧客生涯価値。平均的な顧客が解約する前にどれだけの収益を上げるかを算出したもの。
LTV = 顧客の平均購入単価×平均購入回数(購入期間)
= 顧客あたりの平均MRR / ユーザー解約率
12.40%ルール(Rule of 40%)
SaaS企業で重視される指標で、売上成長率+営業利益率が40%以上あれば評価されやすいと言われている。
SaaS起業家のため事業計画作成 SaaS 「projection-ai」とは?
projection-aiは、SaaSスタートアップのための事業計画作成ツールである。目標ARRから必要なKPIを自動算出することができるため、蓋然性の高いトップダウン型の事業計画を素早く簡単に作成することができる。
(画像:projection-ai)
また、国内外のSaaS企業におけるコスト構造や人員目安などをまとめた「ナレッジページ」も用意。実績がないスタートアップでも、業界水準を参考にしながら、事業計画を作成することができる。
SaaSの調査コスト・時間を大幅に削減「projection-ai:db」とは?
projection-ai:dbは、SaaS起業家・投資家のため産業情報プラットフォームだ。開示されているSaaSメトリクスを網羅しているため、リサーチコストを大幅に削減することができる。
projection-ai : dbの主な特徴
1.市場規模がわかる
SaaS市場規模や成長率、マーケットトレンドなどを掴むことができる。
2.企業評価がわかる
上場企業を比較することで、どのようなSaaS企業が評価されているのか簡単に把握できる。
(画像 : projection-ai:db)
3.メトリクスが分かる
SaaSメトリクスを集約しているため、もうIR資料を閲覧する必要はない。