年々増え続けるSaaS企業。少し前までは、NetflixやSpotifyなどBtoCサービスのイメージが強かったが、BtoBにおいてもSansanやfreeeなど、多くの企業でSaaSサービスの活用が進んだ。「SaaS」という言葉もすっかり定着した。
マーケット規模で見ても年々成長しており、SaaS市場規模のCAGR(年平均成長率)は13.3%(20年-25年)。
(画像 : projection-ai:db)
このような中で、SaaSのビジネスモデルを改めて整理しておきたい方もいるのでないだろうか?また、直近でどんな国内SaaS企業が勢いがあるのか?
今回はSaaSの売上モデルや国内SaaS企業のランキングを紹介していく。
SaaSの売上モデル
SaaSの売上モデルは、以下のように定義することができる。
MRR = 前月のMRR + 新規MRR(New MRR) + アップセルMRR(Expansion MRR)- 解約MRR(Churn MRR)- ダウングレードMRR(Downgrade MRR)
SaaSは積み上げ型のビジネスなので、毎月繰り返し得られる売上(MRR:Monthly Recurring Revenue)が重要になる。
※「繰り返し得られる売上」なので初期費用や単月でのコンサルティング費用などは含まれない。
MRRは5つの要素で構成される。
1.前月のMRR:その名の通り前月までに積み上がったMRR。
2.新規MRR(New MRR):当月の新規顧客のMRR。
3.アップセルMRR(Expansion MRR):既存顧客からの追加売上。プランのアップグレードやアカウント数の増加による追加売上が該当する。
4.解約MRR(Churn MRR):既存顧客の解約で失ったMRR。
5.ダウングレードMRR(Downgrade MRR):既存顧客のアカウント数が減少したことで失ったMRR。
(例)
前月までのMRR:100万
新規ユーザー獲得による新規MRR:10万
アカウント追加によるアップセルMRR:3万
顧客の解約によって減少したMRR:2万
既存顧客のアカウント数減によるMRR:1万
MRR = 100 + 10 +3 - 2 - 1
= 110万
日本のSaaS企業
それでは国内SaaS企業のランキングを紹介していく。(2021年12月時点)
日本のSaaS企業の時価総額ベスト10
(projection-ai:dbより抽出、Freeプランのご利用はこちらから)
(画像 : projection-ai:db)
1位:ラクス 550,892(百万円)
経費精算システム「楽楽精算」、帳票発行システム「楽楽明細」、労務管理システム「楽楽労務」などを手掛ける。
2位:マネーフォワード 374,656(百万円)
クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」、給与計算ソフト「マネーフォワード給与計算」などを手掛ける。
3位:freee 352,299(百万円)
クラウド会計ソフト「会計freee」、人事労務システム「人事労務freee」などを手掛ける。
4位:Sansan 321,246(百万円)
クラウド名刺管理サービス「Sansan」、クラウド請求書受領サービス「Bill One」などを手掛ける。
5位:Appier Group 155,442(百万円)
Web接客ツール「AiDeal」、カスタマーエンゲージメントツール「AIQUA」などを手掛ける。
6位:プラスアルファ・コンサルティング 134,368(百万円)
タレントマネジメントシステム「タレントパレット」、マーケティング支援ツール「カスタマーリングス」、テキストマイニングツール「見える化エンジン」を手掛ける。
関連記事:3つのSaaSを手がけるプラスアルファ・コンサルティングが上場
7位:セーフィー 116,501(百万円)
クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」を手掛ける。
関連記事:2年間で評価額が8倍のクラウドカメラ「セーフィー」がIPO
8位:プレイド 104,996(百万円)
サイト/アプリ訪問者の行動を解析し、CX(顧客体験)の向上を図るプラットフォーム「KARTE」を手掛ける。
9位:サイボウズ 94,785(百万円)
中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice」、大企業向けグループウェア「Garoon」などを手掛ける。
10位:HENNGE 65,220(百万円)
セキュアなアクセスとシングルサインオンを実現するIDaaS「HENNGE One」を手掛ける。
1位のラクスは2位に1200億以上の差をつけている。
ランキングを見ていくと、グループウェアのようなコラボレーションツールからメール送信ツールのようなデジタルマーケティングツールを提供している会社など、様々な領域からバランス良くランクインされている。幅広い領域でSaaSが活発なのが分かる。
日本のSaaS企業の売上成長率ベスト10
続いて売上成長率ベスト10を紹介。
(画像 : projection-ai:db)
1位:フォトシンス 54.1%
クラウド型入退室管理システム「Akerun」を手がける。
関連記事:クラウド入退室管理システム「Akerun」を提供するPhotosynthがIPO
2位:Appier Group 49.5%
Web接客ツール「AiDeal」、カスタマーエンゲージメントツール「AIQUA」などを手掛ける。
3位:サイバーセキュリティクラウド 48.6%
クラウド型WAF「攻撃遮断くん」やAWS WAFルールの自動運用サービス「WafCharm」などを手掛ける。
4位:Chatwork 43.7%
ビジネス用チャットアプリ「Chatwork」を手掛ける。
5位:freee 41.6%
クラウド会計ソフト「会計freee」、人事労務システム「人事労務freee」などを手掛ける。
6位:マネーフォワード 39.6%
クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」、給与計算ソフト「マネーフォワード給与計算」などを手掛ける。
7位:ウォンテッドリー 39.1%
人材マッチングプラットフォーム「Wantedly Visit」、福利厚生サービス「Perk」などを手掛ける。
8位:プレイド 35.3%
サイト/アプリ訪問者の行動を解析し、CX(顧客体験)の向上を図るプラットフォーム「KARTE」を手掛ける。
9位:ヤプリ 34.9%
アプリ開発や運用、分析をノーコードで提供するシステムを手掛ける。
10位:ラクス 34.5%
経費精算システム「楽楽精算」、帳票発行システム「楽楽明細」、労務管理システム「楽楽労務」などを手掛ける。
時価総額で1位のラクス、3位のfreee、5位のAppier Group、8位のプレイドは売上成長率でもランクインしており、堅調な成長がうかがえる。
時価総額や売上成長率のランキングを紹介してきた。
最後にSaaS市場の状況がわかるおすすめツールを紹介する。
SaaS起業家・投資家のため産業情報プラットフォーム「projection-ai:db」とは?
今回SaaSの売上モデルや国内SaaSのランキングを紹介しましたが、projection-ai:dbを活用することでランキングや企業情報を、簡単に閲覧することができる。
(画像 : projection-ai:db)
projection-ai:dbは、SaaS起業家・投資家のため産業情報プラットフォームだ。開示されているSaaSメトリクスを網羅しているため、リサーチコストを大幅に削減することができる。
projection-ai : dbの主な特徴
1.市場規模がわかる
SaaS市場規模や成長率、マーケットトレンドなどを掴むことができる。
(画像 : projection-ai:db)
2.企業評価がわかる
上場企業を比較することで、どのようなSaaS企業が評価されているのか簡単に把握できる。
(画像 : projection-ai:db)
3.メトリクスが分かる
SaaSメトリクスを集約しているため、もうIR資料を閲覧する必要はない。