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SaaS企業の事業計画が未達になる、意外な理由

目次

    SaaS企業の事業計画が未達になる理由、それは「事業計画の立て方」

    SaaS企業は事業計画で高い目標を掲げて、優秀なメンバーと共にその実現を目指すことが多いでしょう。そうした事業計画が未達になる理由には様々なものがありますが、「事業計画の立て方に問題がある」という理由は、起業家にとっては意外に思われるかもしれません。今回は反面教師として活用いただくために、未達に終わりやすい事業計画の傾向を紹介します。

    事業計画を立てる際に気を付けるべきポイント

    1.KPIの「数」

    数えきれないほどの細かすぎるKPIを設定することは、かえってよくありません。いち組織・個人で追うべきKPIは2~5個まで絞り込みましょう。

    事業計画を作る際には、現実に即したシミュレーションを組むことが目的になって、ついつい変数・KPIをあれこれと細かく設定しがちです。
    結果的に目標・KGIと強く相関するKPIを絞り込めればよいのですが、そうでない場合は組織として何に注力すべきかが曖昧になります。リソースを注ぎ込むべきポイントを見誤ると「頑張っているのに成果は出ない」という苦しい状況に追い込まれるでしょう。

    加えて起業家が作る事業計画は、投資家などステークホルダーとのコミュニケーションツールとして使われるものです。
    ステークホルダーへの説明責任を果たすために、事業の進捗報告(事業計画と実績の予実対比)が必要になることも考えてみましょう。KPIが多すぎる事業計画は、実績集計やシートのメンテナンスなどの運用負荷それ自体が高くなってしまい、結果としてプロダクトの開発や営業に割くべき貴重なリソースが奪われてしまいます。

    以上のことから精緻なシミュレータを作ろうとするのではなく、SaaSビジネスにおける重要なメトリクスを使ってシンプルな事業計画をつくることを意識しましょう。

    2.KPIの「設定方法」

    KPIの設定方法には「ボトムアップの積み上げ式」と「トップダウンの逆算型」の2パターンが存在します。そのうちボトムアップの積み上げ式で事業計画を作成すると、1.KPIの「数」で挙げたように把握すべきKPIが多くなりがちです。

    また積み上げ式の場合、目標ARRは各種KPIを組み合わせた計算結果として導き出されます。
    目標ARRは事業の成長性を見るために、投資家が真っ先に注目する最重要メトリクスです。もし算出された目標ARRが、投資家が求める成長スピードに届いていない場合や、逆に成長スピードがあまりに急速すぎる場合は、事業計画の見直しを余儀なくされます。

    多数のKPIが設定されている事業計画は、修正だけでも大変な作業となってしまいます。そのため、特に資金調達を目指すのであれば「目標ARRからの逆算」で事業計画を作成することをおすすめします。

    ※2つのKPI設定方法に関するメリット・デメリットは、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参照してみてください。
    なぜ事業計画は「トップダウン(逆算)」で作るべきなのか

    3.KPIの「具体性」

    近年では重要なSaaSメトリクスに関する情報が日本語でも出回るようになったため、ARRやARPA・Churn Rateなどの目標を設定する起業家が増えていると思います。
    それ自体に問題はないのですが、「設定したARRやChurn Rateなどの目標を達成するために、具体的に何をすればよいのか」を明確にしないまま事業を進めると、軌道修正の方法が分からないまま、責任の所在が曖昧なまま「蓋を開けたら未達」という状況に陥りかねません。

    つまり望ましいのは、全体目標を起点に逆算型で各担当のKPIが設定されており、かつ誰がどのように行動すべきかが明確になっている事業計画です。

    特にARRなど売上に関する指標は、それを達成するために必要な顧客数・顧客単価はもちろん、必要とされる商談数・リード数など日々の営業活動に落としこめる活動量のKPIを設定するとよいでしょう。そうすると週次・月次で行動を改善でき、「勝ちパターン」が見つかる可能性が高まりますので、自ずと目標達成にも近づいていくこととなります。

    ※マーケティング担当・営業担当が追うべきKPIの詳細は、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参照してみてください。
    シード期のSaaS企業において、経営者からチームに浸透させるべきKPI

    4.KPIの「蓋然性」

    事業計画には起業家の想いは絶対に欠かせない要素です。しかし起業家の想い「だけ」の事業計画は残念ながら、絵に描いた餅に終わってしまうケースが多いでしょう。

    事業計画には蓋然性(確からしさ)が必要です。1つひとつのKPIを根拠に基づいて設定することで、起業家の想いの実現可能性を客観的に検証できます。また起業家の魅力的なアイデアに実現可能性が備わっていると説明できれば、投資家からの資金調達も受けやすくなります。

    もちろん1.KPIの「数」、2.KPIの「設定方法」で述べた通り、細かすぎるKPI設定はかえって未達の事業計画を生みかねません。しかし蓋然性のある達成可能な目標設定と、それを達成するために必要な活動量のKPI設定は事業計画に欠かせない要素といっても過言ではありません。

    ※蓋然性がある事業計画書の作り方については、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参照してみてください。
    信頼される事業計画書の作り方

    まとめ ~達成できる事業計画づくりのポイントとは?~

    以上4点の総括として、起業家は次のことを意識しながら事業計画を立てるとよいでしょう。

    • 目標ARRからの逆算で、必要な行動量までKPI化された事業計画を作る
    • KPIは増やしすぎない。必要十分まで絞り込むことで実績集計の手間を減らしながら、組織のリソースを集中させるべきポイントを明らかにする
    • 事業計画には蓋然性・実現可能性を持たせる


    3点目に関して、事業計画に蓋然性を持たせる取り組みは、起業家が1人で行うには難易度が高い作業です。
    はじめて蓋然性を考える際には、「成功している国内・海外のSaaS起業がどのような成長曲線を辿ったか」といった先行事例に倣うのが効果的です。もしそうした知識がない場合は経験豊富なVCに相談するか、もしくはSaaSビジネスに特化した事業計画SaaSを活用することをおすすめします。

    SaaS企業のための事業計画作成SaaS「projection-ai」

    事業計画SaaS「projection-ai」は国内・海外の上場SaaS企業のKPIをベンチマークとした事業計画を逆算型で作れるため、Excel・スプレッドシートを駆使するよりもかんたんに、かつ蓋然性の高い事業計画を短時間で作成できます。

    またprojection-aiには、事業計画の実現に向けた月次KPI・活動量を管理する機能や、月次での予実対比を行う機能があります。そのため資金調達に向けた準備の枠を超えて、経営管理においても事業計画の有効活用が可能です。

    projection-ai は7日間のフリートライアルを実施していますので、事業計画の作成に取り組んでいる起業家の方はぜひご活用ください。
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