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シード期のSaaSスタートアップにおけるカスタマーサクセスのポイント

目次

    SaaS企業におけるカスタマーサクセスの重要性

    SaaS企業の成長スピードを決める要因の1つは解約率(churn rate)だ。特にサブスクリプション型のビジネスモデルで事業展開している場合、「年次の解約率が10%を下回ること」が中長期での継続的な成長にむけた必須項目となる。

    SaaS企業において解約率を下げる取り組みは、カスタマーサクセス抜きには語れない。しかし「カスタマーサクセス」と一口にいっても、プロダクトや顧客基盤の属性、事業のステージ、組織規模などによって求められる役割は大きく変わってくる。

    そこで今回は、特にシード期に求められる役割に絞って「カスタマーサクセス」のポイントを掘り下げていく。

    シード期に行うべきカスタマーサクセス、キーワードは「PMF」


    はじめに概観すると、カスタマーサクセスの役割は大きく5つにまとめられる。

    1 オンボーディング

    導入支援、プロダクトの提供価値を実現するための土台作り

    2 アダプション

    運用支援、顧客がプロダクトの導入効果をいち早く実感するためのサポート

    3 エクスパンション

    活用促進、プロダクト利用範囲の拡大による「顧客への提供価値」「自社収益」の最大化

    4 リニューアルマネジメント

    契約更新、直接的な解約阻止はもちろんエクスパンション(アップセル・クロスセル)も実施

    5 プロダクトフィードバック

    1~4 で得られた顧客の声から市場ニーズを抽出し、開発チームに共有


    1~5 の中でも、特にシード期に求められる役割は「オンボーディング」「アダプション」「プロダクトフィードバック」である。なぜならば、シード期はPMFの達成が求められるからだ。

    PMFを達成するには顧客の生の声を聞き、一定の市場規模が見込まれるニーズを抽出し、ニーズを満たすプロダクトを適切な市場に届ける必要がある。PMFのためには、開発チームに精度の高い市場ニーズを伝えるブレーンの存在が欠かせない。

    つまりシード期におけるカスタマーサクセスとは、開発チームの思い込みや妄想でプロダクトを誤った方向に進化させないために必要な機能であり、プロダクトの成長促進を通じて顧客により優れた提供価値を届ける役割である。カスタマーサクセスはPMF達成の原動力の1つなのだ。

    PMF達成に向けたカスタマーサクセス実践のポイント


    ここからは具体的に、PMF達成を念頭に置いたカスタマーサクセス活動のポイントを紹介する。

    徹底的にハイタッチ施策を展開

    そもそもシード期であれば、抱えている顧客数は少ないだろう。加えてPMF以前なら、プロダクトの提供価値を確信をもって定められていない段階だと思われる。であればこそ、ハイタッチ施策を展開し、徹底的に顧客に寄り添って「真に解決すべき課題」を特定すべきだ。

    ハイタッチ施策の中でも、シード期にはオンボーディング・アダプションの2つが強く求められる。顧客にプロダクトを使ってもらわないことには、プロダクトの提供価値が市場・顧客に響くかを検証できないからだ。

    ハイタッチ施策を通じて顧客の課題を認識し、市場ニーズを捉える仮説を練り上げられた段階で一度、経験豊富なVCなど信頼できる投資家に壁打ちを依頼するのがよい。外部の目線が加わることで、意外な切り口から議論を掘り下げて仮説を鍛えられたり、確からしい市場ニーズの検証方法を助言してもらえたりするだろう。

    カスタマージャーニーマップの作成

    カスタマーサクセス活動を通じてプロダクトの方向性が見えてきたら、カスタマージャーニーマップを作成してみよう。

    シード期からカスタマージャーニーマップを作成することで、市場のニーズやプロダクトの提供価値(導入効果)が形式知として整理される。これは社内における起業家・開発チームとセールス・カスタマーサクセスの認識合わせに役立つのはもちろん、PMF後には投資家からシリーズAの資金調達を行う際のコミュニケーションツールとしても機能する。

    加えてカスタマージャーニーマップの作成は、PMF後の組織的な事業展開にも効果的だ。カスタマーサクセスの仕組み化・型化はもちろん、プロダクトの提供価値が言語化されることで、プロダクトの追加開発に関する意思決定やマーケティングコミュニケーション(プロモーション戦略・戦術)の策定、セールスの型化がスムーズになる。

    さらに、精度高くカスタマージャーニーマップを描けていれば、解約率の引き下げに必要な施策とその優先度も自然と浮かび上がってくる。冒頭でも触れた通り、解約率は事業の成長スピードを決める重要な要素の1つだ。PMF後も折に触れてカスタマージャーニーマップを更新し、行うべき施策の内容と優先度を整理してほしい。

    機能追加や改善をしっかりと顧客に届ける仕組みづくり

    シード期のうちから、顧客の声を集約して開発チームに連携する仕組みを整えておきたい。

    シード期はカスタマーサクセス担当が率先して顧客の声から市場ニーズを抽出して開発チームにフィードバックするのがよいと思われるが、その先を見越すと、顧客が要望を直接フィードバックする仕組みを検討するのも有効だろう。

    たとえばプロダクトにチャット窓口を用意しておいたり、ユーザー専用サイトから要望を投稿・投票できる仕組みを準備したりなど、手段はさまざまある。先行他社の事例に学ぶほか、信頼できる投資家からアドバイスをもらってより良い手段を用意するのがおすすめだ。

    そして忘れてはならないのが、顧客要望に沿ってプロダクトを改善したら、その取り組みを顧客に周知することだ。カスタマーサクセス担当が顧客に直接報告してもよいし、顧客数が増えてきたらメルマガでの一斉周知やプレスリリースを行ってもよいだろう。

    顧客への周知は、今後も継続的に顧客要望をフィードバックしてもらうために必要だ。顧客心理を考えると、自分がフィードバックした機能改善要望がプロダクトに反映されて嬉しくないはずがない。加えて「自分の声がベンダーに届いている」と理解できれば、些細なことでも気が付いたらフィードバックしようと思うのが顧客の性だ。

    目まぐるしいスピード感で活動するスタートアップにとって、顧客への周知はうっかり忘れがちなタスクだ。それでも顧客に改善報告の周知を行うことは、顧客のファン化の促進など、長期的にも効果が出てくるものだ。ぜひ凡事徹底で取り組んでほしい。

    カスタマーサクセスの組織設計

    組織が大きくなっていく中での実践的な施策については、「CS組織をどう作り、どのように進化させていくべきなのか?」を説いたこちらの記事も参考にしていただきたい。


    カスタマーサクセスに注力するためのアドバイスは「SaaSの活用」


    シード期のSaaSスタートアップは、企業規模に比べてやるべきことが多くなりがちだ。だからこそ、いち早くPMFを達成すべく、プロダクトの成長に資する時間の使い方を心がけたい。

    今日ではSlackなどのグループウェアだけでなく、業務システムにおいても手が届く価格帯のSaaSが増えている。本質的に価値のある時間の使い方が実現できるよう、積極的にSaaSを導入して時間のムダを削減してほしい。

    一例として、カスタマーサクセスにおいては、顧客の個人情報(氏名・部署役職・メールアドレス・電話番号・その他定性的情報)や契約情報、接点履歴などは常に参照したい情報だ。こうした情報がもしセールスやマーケティングに聞かないと出てこないなら、コミュニケーションのムダが発生している。顧客情報を一元的に管理する仕組みは、シード期であっても導入を検討する価値はあるだろう。

    起業家の時間を捻出する、事業計画作成の手間を解決するSaaS「projection-ai」


    また、多忙を極める起業家からよく耳にするのは、事業計画の作成における手間だ。

    財務や経営企画のバックグラウンドがなければ、どのようなフォーマットで計画をつくればよいかが分からない。試行錯誤してフォーマットを作成できたとしても、事業計画の見直しが必要になった場合は、数値や数式の調整作業が発生する。多忙な中で地味ながら集中力が要る作業をしていると、どこかで数値や数式の入力ミスが出てくるだろう。

    こうした作業に価値を見出せるのであれば問題ないが、多くの起業家は、できればもっと別のことに時間を使いたいと考えている。こうした願いを叶えるのがSaaSビジネスの事業計画作成SaaS「projection-ai」だ。

    projection-aiは、提供元の親会社であるVCファンド・One Capitalが培ってきた知見をカタチにしているため、ツボを押さえた事業計画をスピーディーに作成できる。ゴールから逆算した事業計画やシナリオ別の事業計画を作成できるだけでなく、重要なKPIについては他社SaaS企業の平均値など“相場観”を参照できるのがポイントだ。

    projection-aiは7日間の無料トライアルを実施しているので、事業計画の作成・見直しに取り組んでいる起業家はぜひ気軽に申し込んでほしい。


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