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SaaSマーケティング戦略の実行度を高める -PDCAマネジメントの3つのポイント-

目次

    マーケティング施策の実施において、PDCAマネジメントがどれだけの精度で行えているかは非常に重要だ。

    例えば、そのまま実行したら100の効果が出る戦略も、実行されたのは半分の50で、さらにそこから成果に結びついたのがさらに半分の25になる、ということは良くあることだ。例えば実行度を50から100にすることができれば、たとえ成果がその半分しか出なかったとしても、先程の25の成果しか出なかった場合と比べて二倍の成果を出すことができるようになる。

    逆に、実行が50しかできないような企業で、実行が100の企業に勝とうと思えば、二倍の成果が出る200の戦略を考えなければいけないということでもある。
    二倍の成果が出るような戦略を考えるよりは、PDCAマネジメントの精度を高めた方がコストは低いことは明らかだ。



    特に、THE MODEL型のセールス組織になっていることが多いSaaS企業におけるマーケティングの場合は、後工程のインサイドセールスやフィールドセールスとの関係がシンプルで、PDCAの精度改善の効果がわかりやすい。

    本記事では、マーケティング戦略の実行度を高めるための、PDCAマネジメント3つのポイントについて解説したい。

    PDCAマネジメントの3つの要素


    PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(進捗確認・軌道修正)→Action(改善行動)の頭文字を取った、業務改善サイクルのことを指す。

    目標に対して現状がビハインドしている場合は勿論、進捗が良い場合であっても正しくPDCAマネジメントをすることで、目標を上方修正し、より高いパフォーマンスを引き出すことができる。進捗状況の良し悪しに関わらず重要な考え方だ。

    PDCAマネジメントをする上で考えなくてはいけない要素が指標、帳票、会議体の3つである。

    管理指標:達成したい目標を数値で表したもの 例:獲得リード数、アポイント獲得数など
    管理帳票:指標を管理するための“表”
    会議体:帳票を使いながら、関係者で解決策を立案するための会議体


    3つのうち、指標について意識をしたことがないという人はいないと思われるが、PDCAサイクルの精度を高めるために帳票や会議体をどのようなものにすれば良いのか、そこまでセットで考えたことがあるという人は少ないのではないだろうか。

    以下では、3つの要素それぞれにおけるポイントを述べていく。

    PDCAマネジメントのポイント①管理指標 「プロセスをまたぐ目標を設定する」


    SaaS企業では分業型のセールス組織(マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス)の形式を取っていることが多いが、素直に指標を設定しようとすると、以下のようになる。

    マーケティング部門 →リード数
    インサイドセールス部門 →アポイント獲得数
    フィールドセールス部門 →受注数

    しかし、これらのようにプロセスごとの変数をそのまま部門の目標指標にすることは止めておくべきだ。

    例えば極論を言うと、マーケティング部門は自社のサービスとそれほど関係のないセミナーやホワイトペーパーを乱発するようになり、それほどサービスへの興味が湧いていないリードがインサイドセールス部門に渡される。とにかくアポイントを取りたいインサイドセールスは、あの手この手でなんとかアポイントを設定。最後にはフィールドセールスがアポに行くと、なぜこのアポがそもそも設定されているのかも明確になっていない、目的意識のない担当者がいて、会社紹介だけして終わる、なんてことになりかねない。

    これは、プロセスを分業しているために起こる構造的な問題だ。
    解決するためには、指標の設定を工夫する必要がある。

    それは「プロセスをまたぐ目標を設定する」ということだ。具体的には例えば下記のようになる。

    マーケティング部門 →リード数に加えて、アポイント獲得数
    インサイドセールス部門 →アポイント獲得数に加えて、受注数
    フィールドセールス部門 →受注数

    このように指標を設定することで部門間での双方向のコミュニケーションが生まれるようになり、プロセス全体での連帯感が高まっていく。シンプルだが、効果は高い。

    PDCAマネジメントのポイント②管理帳票 「問題が可視化された帳票を設計する」


    管理指標が決まれば、次は管理帳票の設計だ。指標をどう管理するのかをここで考える。

    一言で言うと、良い帳票というのは、タイムリーに更新されており、関係者がいつでも見られる場所にあり、情報が一元化されており、問題(目標との乖離、アクションの進捗が悪い)がひと目でわかるようになっているものが良い。

    これをフレームワークに落としたものが、「IDEAのフレームワーク」だ。

    Immediately(即時性) タイムリーな更新ができる
    Display(周知性) 関係者全員が把握できる
    Entirely(一覧性) 関連情報が一元化されている
    Alarm(問題発見性) 問題発生時にアラートが立つ




    まずはこのチェックシートを使い、自社で使っている管理帳票をチェックしてみると良いだろう。

    PDCAマネジメントのポイント③会議体 「問題解決のための会議体にする」


    PDCAマネジメントの最後のポイントが会議体だ。

    突然だが、あなたの会社ではこんな言葉が飛び交ってはないだろうか。

    「このままでは目標達成などできないぞ!皆、もっと頑張ってくれ!目標必達だ!以上!…」

    これは多少誇張した表現ではあるが、掲げた目標と業績を引き比べ、リーダーが叱咤激励だけして終わる、というのは意外とよくあるシーンだ。参加者からしてみれば、「そんなことはわかっている。わざわざ皆を集めて言う必要などないだろう」と思ってしまうような状態だろう。

    大事なことは、会議は「情報共有の場」ではなく、「問題解決の場である」という認識を持つことだ。実際には、多くの会社では「問題が発覚しないための準備」が行われていることが多く、それによって問題がテーブルの下に隠されてしまう。

    例えば、目標達成が危うい状況だったとすると、そこをつかれないような資料をそろえ、「現状はこうだが、この資料のようにリカバリー計画に沿って、最終的に目標達成します。問題ありません!」といった発言で会議を乗り切ろうとする。勿論、責任者として問題の解決策を考えておくことは非常に重要なことだが、自分の力だけでは問題は解決しないことも多い。

    会議は問題解決の場である、という認識をまず持ち、下記の3ステップを心掛けると良いだろう。

    STEP 1:問題発見 → (既に決めてある指標と帳票を確認しながら)問題が上がってきたら、ウェルカムな雰囲気で迎える
    STEP 2:施策立案 → 参加者全員で意見を出し、会議実施前にはなかった解決策を生む
    STEP 3:行動促進 → 解決策の責任者と期限を決め、次回会議体で進捗を確認する


    最後に


    今回はマーケティング戦略の実行度を高める、PDCAサイクル3つのポイントについて解説した。

    どんなに良いサービスであっても、事業運営上で問題が発生しないことなど絶対にない。大事なことは、正しい問題に対して、正しい解決策を、徹底してやりきることだ。そのためには日々のPDCAサイクルの回し方から原理原則を押さえて、精度を高めていくことが重要である。

    是非、本記事で紹介したフレームやポイントを参照し、PDCAサイクルの精度向上に向き合ってみてほしい。

    本記事では、PDCAサイクルの重要性について述べたが、そもそもどの程度の目標設定をすれば良いのか、指標の設定の仕方で迷うこともあるだろう。そういった際には、SaaS事業計画をワンクリックで簡単に立てることができるprojection-aiなどのサービスを使ってみるのも良いだろう。

    すぐに無料版を利用することが可能なので、是非参照してみてほしい。




    Written by Keisuke Okita (@kskokita)


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